害虫の情報を中心に、官公庁関連団体で発表されたニュースをピックアップして掲載します。
農業生物資源研究所=東京大学 カイコの蛹への変態を抑制する遺伝子を発見
同定した遺伝子( CYP15C1 )は、幼若ホルモンの体内合成に関与する遺伝子で、この遺伝子が壊れたカイコは幼若ホルモンを作ることができないため、早期に変態し、幼虫、成虫とも小型化します。脱皮や変態は、昆虫の成長の重要な過程であることから、薬剤によりこの過程を制御することで、効果的な害虫防除が可能になると考えられています。本研究の成果によって、カイコが属するチョウ目の害虫の脱皮・変態の回数・時期を制御することで、食害を減らす薬剤の開発への応用が期待されます。
○問合せ先 農業生物資源研究所
(
国立遺伝学研究所=京都大学 暗黒ショウジョウバエのゲノム解読
暗黒バエは野生型ハエと比べて形態的に大きな変化はありません。しかし、繁殖率を測定したところ、暗黒バエは明所より暗所で多くの子孫を残すことがわかりました。暗黒バエの全ゲノム配列を解読したところ、約20万の変異を発見しました。集団内のゲノムの構成を調べることによって、約5%の変異が暗黒バエの歴史の中で選択されてきたこともわかりました。
○問合せ先 京都大学
(
岡山大学 タバコシバンムシ対策でLED誘殺トラップを試作
従来のフェロモンを用いた方法ではオスしか誘引されないのに対して、LED トラップはメスも誘引できるため、害虫の発生レベルを知るだけでなく防除にも使えます。現在は実用化できるトラップの形状を改良中で、将来、食品害虫の防除に幅広く応用されることが期待されています。
○問合せ先 岡山大学
(
中央農業総合研究センター 市民講座「千変万化のアブラムシ」を開催
アブラムシは、植物の若芽の部分にびっしりと付いているのがよく見られます。ふだん見かける個体はすべてメスで、母虫から小さな子虫が次々と産まれて増えて行きます。産まれた子虫は、母虫と遺伝的に同じ個体(クローン)です。クローンであるにも関わらず、アブラムシの集団には翅の有るものと無いものなど、外形が異なる個体が混じっています。同じクローンでも、環境条件などによって形態が変化するという不思議な性質を持っているのが、アブラムシです。講演では、この小さなアブラムシの面白い性質について紹介されます。
○問合せ先 農研機構
(
被災文化財等レスキュー委員会等
「〜人体への健康被害の可能性のあるカビの取扱い」で注意喚起
発表によると、被災した古文書などの紙や藁製品などから肺胞出血を引き起こす疑いがある黒色系カビのスタキボトリス属菌が検出されており、この黒カビが認められる被災文化財の扱いには特に注意が必要としています。健康被害を及ぼす可能性の高いカビが実際に発生していることをふまえ、同委員会では防塵マスク・手袋・保護メガネ・作業着などの着用を訴えています。
○問合せ先 東京文化財研究所
(
4月16日から「科学技術週間」始まる
スーパーコンピュータは何ですか
○問合せ先 科学技術週間専用サイト
(
新刊本『ご近所のムシがおもしろい!』
○問合せ先 岩波書店
(
衛生動物学会大会 信州大学(上田市)で開催
大会では最新の研究発表が行われる他、市民公開講演会やワークショップ(「東北震災後に多発した衛生害虫とその防除」)などが予定されています。なお、イカリ消毒からは「実験室内飼育クマネズミとドブネズミの分娩間隔」、「天然ゼオライトがトコジラミに及ぼす影響」を発表します。
○問合せ先 日本衛生動物学会
(
日本学術会議 公開シンポジウム「環境変動と昆虫科学」を琉球大学で開催
開催地の沖縄は、亜熱帯という気候的特性および島嶼性という生物地理的特性からして、わが国における昆虫生態研究の最前線として機能しており、シンポジウムでは分科会委員および当該分野の研究者による最新の研究報告と討論が予定されています。また、昆虫科学の将来像について、学生や研究者と意見交換するとともに、社会へ向けた情報発信も行う予定です。
○問合せ先 日本学術会議
(
北大と佐賀大の共同グループ、昆虫の自然免疫の活性に重要な物質の同定に成功
昆虫は、熱帯から極地にわたるほとんどの陸地の多様な生活環境に適応して生息していますが、哺乳類などにみられる獲得免疫を持たず、自然免疫のみでさまざまな環境に存在する病原微生物の侵入・感染から身を守っています。今回の研究は、獲得免疫を持たない昆虫を用いて、ストレス応答としての自然免疫活性調節機構を明らかにする目的で、分子レベルでの解析を行いました。昆虫の生体防御機構は「自然免疫のモデル」と考えられており、モデル生物のサイトカインの同定が成功したことで、生物の体を守る仕組みを分子レベルで解明する研究が今後、加速すると期待されます。
○問合せ先 北海道大学
(
京都大学 ハダニは天敵から身を守るために協力する
ハダニ類は葉面に薄い網を造り、葉面と網の間に群れて葉の汁を吸っています。ハダニの網は大部分の天敵が侵入できない安全地帯となっていますが、餌の葉が劣化して居場所を移すたびにハダニは網を新築せねばならず、網が完成するまでにコウズケカブリダニなどの天敵に攻撃されます。この時に群れが大きいほど犠牲になるハダニの割合は小さくて済みます。これは天敵が1匹目のハダニを平らげる間に網が完成して、2匹目に手が出せないからです。
また、単独で網を新築せねばならないハダニは、すでに他個体が新築した網をみつけるとすかさず駆け込んで網にタダ乗りします。しかも、苦労して網を造った先住個体は、間借りする新参個体を追い出さずに仲良く暮らしています。これは先住個体にとっても、新参個体と協力し て天敵から身を守る方が得策だからです。
ダンスを挽くする方法を学ぶ
○問合せ先 京都大学
(
環境衛生センター 殺虫・殺鼠剤・忌避剤等の効力試験の料金表を更新
○問合せ先 日本環境衛生センター
(
神奈川科学技術アカデミー 昆虫の飛行のメカニズムについて講演と実演
当日は、エンジンの推進力と主翼の揚力で飛ぶ飛行機とは全く別の飛行(飛翔)の原理(仕組み)を持つ小鳥や昆虫の羽ばたきの飛行メカニズムについて劉浩・千葉大学大学院工学研究科教授が解説し、同教授が開発した羽ばたきロボットの飛翔実演も行います。
○問合せ先 神奈川科学技術アカデミー(KAST)
(
「アース・ビジョン 第20回地球環境映像祭」 16日〜18日に新宿・四谷区民ホールで開催
特に、今回の開催に当たっては最新の受賞作品に加えて、これまでの応募作品の中から、年月によっても色あせない作品をレトロスペクティブとして上映。また、シンポジウムでは、身近な生活や環境に根ざした活動をされている方々からお話をうかがい、3.11以後、私たちがどのように生き、どのような未来を描くのかを考えます。
○問合せ先 (財)地球・人間環境フォーラム内
(
「しろありの日」 ポスターコンクール募集中
○問合せ先 日本しろあり対策協会
(
厚生労働省 「平成22年度家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告」を公表
報告書によると、殺虫剤・防虫剤に関する事例は271件(有症率76.8%)で、このうち、殺虫剤が前年比1.0倍(252件)で横ばい、防虫剤は前年比0.7倍(19件)と減少しました。また、「吸入事故等に関する報告」で、最も多く報告された家庭用品の種類は、殺虫剤(医薬品・医薬部外品を含む)で252件でした。
○問合せ先 厚生労働省
(
農林水産省 口蹄疫対策で防疫演習を全国規模で実施
演習は「口蹄疫を疑う事例の通報に対する対応の検証」と「口蹄疫発生時の対応の検証」をテーマに実施し、各演習終了後、各都道府県は自己評価を行い、結果を農林水産省へ報告します。農林水産省は各都道府県の報告を取りまとめ、分析・評価した上でその結果を公表します。
その内、「口蹄疫発生時の対応の検証」では、(1)各都道府県が、牛・豚の飼養密度が高い地域の農場3戸を発生農場と想定します。(2)想定した発生農場について、迅速な殺処分、移動制限の実施や感染状況の確認調査等に必要な体制が構築できているかを確認し、取りまとめた資料を農林水産省に送付します〜となっています。
○問合せ先 農林水産省 消費・安全局動物衛生課
(
カラスは仲間の「声」と「姿」を結びつけて認識している 慶応大学の研究チームが発表
CFA認定とは何か
カラスは近年の研究で、相手の視点に立ってものを捉える能力や、他者の行動を観察することで学習する能力など、仲間同士の間で複雑な行動をしていることが明らかにされていましたが、今回、研究チームは網越しに2羽のカラスを仕切られた空間で対面させる実験を行い、鳴き声やその反応性からカラスの生態研究を行ったところ、結果として、カラスが仲間の姿と声を結びつけて認識していることが明らかになりました。従来から鳥類は視覚、聴覚ともに優れていることが知られていましたが、本研究は、それらの異なる感覚が統合され"他者"という概念を形成していることを鳥類で初めて示したものです。哺乳類とは異なるつくりをもつ鳥類の脳において、どのように異なる感覚が統合されているのかを明らかにする突破口とも� ��り、社会生態だけでなく脳とその情報処理の進化の理解に貢献することが期待されます。
○問合せ先 慶応大学
(
北杜市オオムラサキセンター 追悼展「どくとるマンボウ昆虫展」開催中
期間中は北杜夫氏の書籍・直筆の葉書・直筆の色紙・愛用の昆虫図鑑・昆虫採集の道具・北杜夫氏採集の昆虫標本・「どくとるマンボウ昆虫記」に出てくる昆虫標本など100余点を展示しています。また、会場では北杜夫さんにインタビューした動画も上映しています。
○問合せ先 北杜市オオムラサキセンター
(
家屋害虫IPM基礎講座 2月は「博物館のIPM」
◆日時:2月27日(月)16:00(受け付け開始15:30から)〜18:45/19:00〜20:00 懇親会
◆会場: 一般社団法人・洗足会館(東京都品川区小山7−5−18 TEL.03−3781−1455)
◆講師と演題:博物館のIPM(川越和四 イカリ消毒葛Z術研究所) 韓国における博物館IPMの現状と課題(韓 美京 韓国北村東洋文化博物館)
○問合せ先 日本家屋害虫学会
(
チャの主要害虫の発生周期を長期モニタリングデータで解明
研究では、季節性を示す年周期と各世代がはっきりとわかれて発生消長のピークを形成する「世代分割」の現象を検出しました。また、「世代分割」が従来考えられていたように季節性のみで決定されるのではなく、種内密度効果と成虫の寿命が短いことが主要な要因であることを突き止めました。これは、温帯に生息する野生昆虫の時系列データ解析では、世界で初めての発見です。
昆虫の発生推移を生理時間に直して数学的に解析し、齢構成モデルと比較する今回の研究手法は、温帯に生息する様々な生物種に応用可能で、これまでに収集された長期モニタリングデータを解析するための強力なツールとなります。また、密度依存性を持ち、温度に依存した成長を示す、日本国内の害虫や有害雑草などの発生予測などにも、応用が� �待されます。
○問合せ先 農業環境技術研究所
(
日本昆虫協会「夏休み昆虫研究大賞」受賞者を発表
○問合せ先 日本昆虫協会
(
高校生対象の科学コンテスト 文部科学大臣賞に「土壌動物相に関する研究」
□グランドアワード
【文部科学大臣賞】
土壌動物相に関する研究 〜異なる植生・気候帯・季節を比較して〜 (清真学園高等学校)
【科学技術政策担当大臣賞】
水面下からの水噴流による水流に関する研究 (広島県立広島国泰寺高等学校)
【科学技術振興機構賞】
トゲアリの一時的社会寄生 (創価高等学校)
□特別協賛社賞:富士通賞
キクの日持ち性向上に関与する要因解析 〜体内生理の観点から〜 (富山県立砺波高等学校)
□協賛社賞
【アジレント・テクノロジー賞】
花酵母についての研究 (ノートルダム清心学園清心女子高等学校)
【花王賞】
2種トビムシの総生産量推定につい て(自由ヶ丘高等学校)
【JFEスチール賞】
しごかれてできる「巻き」の研究 (広島大学附属高等学校)
□主催者賞:朝日新聞社賞
鏡像による多面体の作成 (立命館高等学校)
□特別奨励賞:テレビ朝日特別奨励賞
古代ハス花弁の葉序に隠れた黄金比をアートする
−800年の時を超え中尊寺ハスが伝える科学− (日本女子大学附属高等学校)
□審査委員奨励賞
DVD分光器を用いた銅(U)錯体の分光分析 (立教池袋高等学校)
クジラ化石の分類に役立つ尾椎の特徴 (神奈川県立横浜緑ヶ丘高等学校)
PCRによるDNA増幅のモデル化に関する研究 (ラ・サール高等学校)
○問合せ先 朝日新聞社
(
建築物環境衛生管理技術研究集会 「快適から安心へ」をテーマに開催
大会では専門講座(「大災害時の環境衛生対策」〜東日本大震災の教訓〜)やシンポジウム(「今後の建築物給排水設備の衛生的維持管理の取り組み」)の他に、〔省エネ・改善〕〔建築物と空気環境〕〔建築物の給排水〕〔ねずみ・害虫等〕〔建築物の清掃・廃棄物〕「建築物における室内環境中の微生物に関する調査研究」〔建築物と健康影響〕〔建築物の空気環境〕をテーマとする研究発表が行われます。
○問合せ先 ビル管理教育センター
(
日本家屋害虫学会 第33回年次大会を2月に麻布大学で開催
1日目の特別講演2演題(「現在の寄生虫病事情」麻布大学教授・内田明彦先生/「有害なダニ・無害なダニ」横浜国立大学名誉教授・青木淳一先生)は一般市民の方々の参加も可能。現在、「都市環境に関わる有害生物」に関する講演発表を募っています。
○問合せ先 大会事務局(エフシージー総合研究所 環境科学研究室内)
(
ノロウイルスの発生注意と予防啓発について
◇ロウイルスに関するQ&A
(
◇ノロウイルス検出状況
(
◇年末年始の期間中における海外での感染症予防について
(
0 件のコメント:
コメントを投稿